【占い小説】「アラサー女子たちの占い活用術」 <復縁マジック> 第4話

2019 11/17
【占い小説】「アラサー女子たちの占い活用術」 <復縁マジック> 第4話

<復縁マジック>

真由美はハッと目を覚ました。

頭がガンガンする。

昨日、里奈と順子に事の顛末を話して、その後ヤケ酒がごとくビールを浴びるように飲んだところまでは記憶がある。

「うぅ~・・・」

痛む頭と、二日酔い特有の胃の不快感に唸り声を上げて、真由美はシャワーを浴びようと立ち上がった。ついでにスマートフォンを確認すると、里奈から送られていたひとつのURLが目に留まった。

「ん?」

それは電話占いのサイトで、それを見た真由美は抜け落ちた昨日の記憶がじわじわと蘇ってくるのを感じた。

「そういえば、電話占いの話、したんだっけ・・・」

順子が、里奈が紹介した電話占いのおかげで結婚に向けて順風満帆な道を歩んでいると言っていたのを思い出し、それから真由美は自分も電話占いをやってみたいと言ったのだと思い出した。

「後で見てみよう・・・」

そう言ってシャワーを浴びた真由美は、その数時間後、電話占いのサイトに釘付けになっていた。

電話占いサイトには、多数の占い師が登録していて、それぞれのプロフィールや得意分野、占いのタイプなどを自由に閲覧する事ができる。

その中に「復縁」という文字がいくつかあるのを、真由美は見逃さなかった。

「復縁・・・そんな事、できるの・・・?」

真由美はゴクリと唾を飲んだ。

実は真由美は正直なところ、彼との別れに相当なショックを受けていたし、彼の事がまだ好きだった。別れたくない、というのが真由美の本音だったのだ。

理由も言わずに勝手に別れて音信不通になった彼を信頼できない、なんて男だ、と思う反面、それこそ順子が言ったように、何か真由美に言えないような事情があってやむなくこのような事態となってしまっていたとしたら・・・という思いも少しはあった。

なぜ彼は突然別れを告げて音信不通になったのか、彼は私の事をどう思っているのか、彼は今どこにいて何をしているのか、知りたい事が山ほどあった。

そして彼と復縁できるのならば・・・

真由美はサイトに載っている占い師の中でも特に復縁についての占いを得意とする占い師を選び、相談してみる事にした。

スマートフォンを手に取り、ダイヤルする。

すると、柔和な声色の女性が電話に出た。

真由美は、彼の事、彼との別れの経緯、そして知りたい事を一気に彼女に伝えた。

彼女はじっくりと話を聞いてくれて、その後に、真由美と彼のフルネームや生年月日などの情報を聞き、さっそく占いに取り掛かった。

そして、彼女が言った言葉は真由美にとっては意外なものだった。

「迷いを感じます」

彼女は真由美にそう告げた。

「彼は今、とてつもなく大きな迷いに苦しめられています。それは、そうね、あなたの事、それから、将来の事、仕事の事、あと、彼の家族の事・・・」

「ど・・・どういう事ですか・・・?」

「彼は、あなたに好意を持っている。今までと変わらないくらいの。そしてあなたに別れを告げた事を後悔しているようです。でも、彼にはそうせざるを得なかった事情があるみたい」

まさか順子が言っていたように、のっぴきならない事情があったとは・・・真由美は驚いた。

「その事情って、一体何なんですか?」

「そこまでは分からないのですが、おそらく、そう、家族と仕事の事で彼は大きな迷いと悩みを抱えているみたいです。そのどちらか、あるいは両方があなたとの別れを決意させたのかも・・・」

占い師はそう言ってから、おもむろに

「あなたは彼との復縁を望みますか?」

と真由美に聞いた。

「もちろんです。何か事情があるなら、なおさら。彼にまだ気持ちがあるなら、なおさらです」

真由美はハッキリとそう答えた。

すると、占い師は、またしばらく何かを占っていたらしく、少しの間沈黙が流れた。

そして

「それならば、明日から10日間、毎日あなたと彼が初めて出会った思い出の場所へ足を運びなさい。そうすればきっと大きな力があなたを導いてくれるでしょう」

と告げた。

初めて出会った場所・・・

あの公園のこと・・・?

真由美と彼が初めて出会ったのは真由美の家の近くの公園だった。

ジョギング中にシューズの靴紐が切れて困っていたところに声をかけてくれたのが彼だったのだ。

真由美は、占い師に礼を言った。

彼の気持ちを知る事ができたり、彼との復縁の可能性があるという事が分かったり、それだけでも十分気持ちが晴れたのに、更に彼と会える可能性まで示唆してくれて、真由美は感無量だった。

それから真由美は毎日、公園通いを続けた。

すると、1週間ほど経ったある日、なんと彼の姿を発見したのだ。

真由美は思わず彼に駆け寄った。

泣いて責める事はせず、落ち着いて声をかけて、彼と話をする流れへと持っていった。

自分がどれほどショックを受けたかという事、そしてまだ彼が好きで、一緒にいたいという事を伝えて、なぜ突然別れを告げたのか、一体何があったのか、聞いてみた。

すると、彼はしばらく考えるような素振りを見せてから、口を開いた。

彼の話によると、父の体調が思わしくなく、会社を辞めて実家に帰り、地元で再就職せざるを得ない状況になり、その事を、結婚を考えているであろう真由美にどうしても切り出せなかったのだという。

「真由美にはやりたい事をやってほしいし、今の仕事をしている真由美が輝いていて好きだったから。うちの事情を知ったら俺の地元についてくるって言い出しかねないし。病気の父親の介護をして自由を奪いたくなくて・・・」

彼はそう言ってうなだれた。

「なんだ、そんな事」

真由美は笑顔だった。

「ちょうど会社、辞めようかなって考えてたところだったの」

真由美のひと言に、彼が顔を上げた。

「そろそろ独立しようかなって思ってて。今やネットビジネスの時代だから、私もネットを使って事業を始めようと計画してたの。ネットだからどこにいても働けるし、時間も自由に使える。だから、そんな心配は無用だよ」

真由美はそう言って彼に抱き着いた。

「ずっと一緒にいてよ。理由も言わずに私から離れないでよ」

気付けば涙が次から次に溢れていた。

彼は「ごめん」と何度も繰り返して、真由美を強く抱きしめ返した。

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